こちらは、インダクタ(コイル)の動作電圧について理解するためのエントリーでございます。
通常コイルってインダクタンス値と電流値を気にして選定されるものですが、最近は電圧を規定している製品も増えてきています。その背景について以下のポイントをまとめます。
- 従来は高電流、低電圧の回路での使用が主流だったのが、高電圧回路での使用用途も増えてきている。
- そもそも高電圧駆動は基本的に危険と考えられてきたし、高電圧のアプリケーションでも、まずはトランスを用いて絶縁して、コイルが使われるDCDCコンバータにおいては電圧が下げられた状態になっている設計が殆どだった。
- プロセッサコアの電源も含め、DCDCコンバータでは100A程度の大電流を1V未満~数十V程度の比較的低い電圧で駆動することが多かった。
- シリコンMOSFET は電源効率重視なのと内部故障を嫌って低電圧駆動が主流だったが、SiCやGaNへと置き換わるトレンドの中で、高電圧のまま回路駆動ができるようになってきて、かつ48V駆動の流れも出てきているため、駆動電圧は大きくなる傾向にある。
- 駆動電圧は絶縁電圧とは違う。電圧印加を繰り返すことで絶縁が保てなくなるケースがあるが、最大駆動電圧は絶縁を保ち続けられる範囲で決められるもの。
参考文献 Operating Voltage Ratings For Inductors | Coilcraft
重厚なインダクタであればそもそも耐電圧も高かったかとおもいますが、小型化したり構造が新しいものになってきて絶縁も取れなくなってきているのも電圧規定の理由の一つだと思いますけどね。