車に載ってるレーダーって?

最近の自動車にレーダーというセンサが載っていることは耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的にどういうものなのかを理解できていない人は意外と多いのでは?と思い、調べてなるべく分かりやすくまとめてみました。

 

■どんな目的で使われているの?

レーダーの技術により周囲の歩行者や自転車、他の車などの存在を検知することができ、車の安全性を支える技術の一つになっています。
半導体技術の進歩に伴い低コスト化が進み実用性も増し、自動車の安全機能として欠かせなくなっており世界的にレーダー需要も右肩上がりで増加しています。
 

■仕組み

まずレーダー(センサ)はスマホなどの通信と同じ様に電波を発信します。
その電波が障害物にぶつかり、反射して戻って来た電波を受信して、対象物の検知を行うというのが基本的な仕組みです。軍事や気象の分野(雨雲レーダー)では比較的古くから活用されてきました。
 
自動車での活用においては、歩行者や自転車、他の車などを検知することで安全走行につながるもので、半導体技術の進歩に伴い低コスト化が進み実用性も増し、自動車の安全機能として欠かせなくなっており世界的にレーダー需要も右肩上がりで増加しています。
 
電波は振動しながら空間を進んでいくものですが、電波の基準として1秒間に電波が何回振動するかを意味する「周波数」があります。
最新の車載レーダーの周波数トレンドは77GHz(=770億回/秒で振動)とかなりの高周波です。
 
周波数が高くなると、直進性が増しますが、進める距離は短くなります。また、精度と感度(速度分解能)も高くなります。
昔は24GHzが主流だったようですが、周波数を上げて解像度と精度を向上してきています。最新の通信規格である5Gの一番高い周波数帯でも28GHz程度ですので、かなり周波数が高いことがわかります。
 
スマホ通信の電波と違い、自動車の周囲の障害物を測定する程度のカバー範囲で構いませんので、周波数を高くして感度と精度を上げていくのがトレンドなのかもしれません。
 
ちなみに余談ですが、レーダー(Radar)とライダー(LiDAR)って響きが似ていませんか?私だけかもしれませんがどうしてもこの二つを混同してしまいがちでした。違いについて説明いたします。
 
レーダー(Radar)は「電波」を使うのに対し、ライダー(LiDAR)は「レーザー光」を出して、対象物からの反射を見て検知をする仕組みです。レーダーのライダーに対する優位性は雨降り、霧、吹雪の中の悪天候下でも機能するところにあり、これはライダーから出力されたレーザーが雨粒や雪にぶつかり反射してしまう事によります。
 
逆に、LiDARは角度検知もできるため、検知した物の形までを推測するのに役立ちます。これは、光がぶつかった障害物の角度に応じて光の反射の仕方が変わるため、反射して返ってきた光を解析して角度を推定することができます。
 
LiDARはカメラでの撮影で被写体との距離を測る目的などでスマホタブレットにも搭載されるケースがあります。
車以外でも結構身近で使われている技術なんですね。知らない間に光が出てるの少し怖い気もします。
 
※ちなみに、LiDARは「Light Detection and Ranging」から来ています。
 
 

■タイプと用途

最後に、実際にレーダーがどのように自動車で実用化されているのかを簡単にご紹介します。
 
レーダーには、検知距離に応じて下の3タイプのレーダーがありそれぞれの目的を果たしています。基本的に距離が長くなるほど角度が狭まり、逆に距離が短くなるほど角度が広くなり、その性質に応じて用途が分かれています。
 
 
①遠距離レーダー Long-range Rader (LRR)  ~250mまで    
車両前方のバンパーに設置されることが多い
用途:アダプティブ・クルーズ・コントロール、レーンチェンジアシスト、前方車両追突警報システム
⇒前方の車との距離を測定して、自動的に速度を調整して運転者の負担を軽減する運転をしたり、追突の可能性があれば緊急停止もします。
 
②中距離レーダー medium-range radar (MRR)  1-60m/100m 
車両前方のバンパーに設置されることが多い
用途: ブラインドスポット検知 
ブラインドスポット(=車両のすぐ後ろなどで運転中にミラーでは確認しにくいスポット。)に他の車両がいる場合はアラームを出すなどして警告します。意外とすぐ隣にいる車両が目に入らず車両変更しようとしたりする事がありますが(私だけ?)、そういう場合にレーダーが検知して警告してくれます。
 
③近距離レーダー short-range radar (SRR)  1-30m   
車両のコーナーに設置されることが多い
用途: 主に駐車支援
 
③'超近距離レーダー ultra short range radars (USRR)  1-20m 
 
ここに記載した用途は新車を買う場合には搭載されていて当然の機能ですので、レーダーの搭載数が増えていることも頷けますね。
 

■まとめ

レーダーは車の周りの障害物を検知する役割を持っていて、衝突回避に必要な技術です。衝突回避といっても、走行中か駐車時か、検知場所などによりいろいろと目的があり、機能も少しづつ異なっています。

部品の低価格化に伴って新しい車にはほぼ搭載されているレーダーについて、基本的な知識は頭に入れておいた方が良さそうですね。

 

 

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