成長中の太陽光発電システムの米スタートアップEnphase(エンフェーズ)の株価が大きく下がっています。
アメリカ時間の8/8時点では135.77ドルで取引終了。
長期的に見ても成長曲線から外れてしまい、昨年の22年冬あたりでは300ドル超えていたのと比較すると、今や6割程度も落ち込んでしまっています。
経済ニュースだけでなく、YoutubeでもEnphase株の暴落について色々と意見を上げている動画があり、アメリカではそれなりの影響ある出来事だったのではないかと思います。
では、そんなEnphaseの株を安値の今買うべきかどうかについて、考えていきたいと思います。
Enphaseとは ?
そもそもまずはEnphaseとはどういう会社なのかについて。
2006年設立の本社をアメリカのカリフォルニア州に構えるソーラー発電システム、サービスのスタートアップで、145か国に延べ350万機以上のソーラーシステムを納入してきており、現在従業員が 3,000名以上の規模へと成長し今や立派なグローバル企業になりつつある企業でございます。
※23年8月11日時点(アメリカ日付)で株式時価総額が182.9 億ドル(約2兆6500億円)!
ソーラーシステムに関するシステムはバッテリーやチャージャーなどと色々ラインナップしていますが、一番の強みは「マイクロインバーター」です。
太陽光の光エネルギーは直流(DC)電流であるため、人間が生活で使用する電気の交流電流に変換する必要がありますが、その電力変換を行うのがインバーターの仕事です。
Enphaseのマイクロインバーターの場合、従来の太陽光インバーターのように1つのインバーターが全てのソーラーパネルを管理するのではなく、マイクロインバーターが個々のパネルを管理して効率よく太陽光を電気に変換することができます。
また、ソーラーパネルを増設する際の管理も楽になりますし、インバーターが複数あるので1つ故障したとしてもシステム全体が機能不全になることもないのが従来のシステムとの違いです。
何故株価が暴落しているのか?
一言でいうと、アメリカ国内市場が不振なのとバッテリー販売が不振で、業績が良くないからです。
理由① 2Qの結果が悪い:
23年2Qの業績がコンセンサス予想(アナリストが分析して予想していた数値)の722.1Milドルに対し、711.1Milドルと下回っています。(1Qは726.0Milドル)
理由② 3Qの見通しもさらに悪い:
3Qについては、コンセンサス予想748.1Milドルに対し、Enphaseの見通しは550-600Milドルと更に低くなっております。株価は3Qの決算発表時にさらに下落するかも。
今後どうなるのか
直近について、4Qの見通しは分かりませんが、過去21年、22年は4Qが最も収益が高かったことを踏まえて、3Q:550Milドル、4Q:600Milドルとみると、CY23合計で2,587.1Milドルなので、CY22の実績2330.9Milドルを超えて、前年比増にはなりそうです。
しかし、おそらくこれまでの成長率を踏まえての株価であったかと思いますので、短期的に株価が大きく回復することは見込めないかもしれません。
長期的には太陽光市場は成長が見込まれていて、その中でもEnphaseは製品の性能で高いポジションを築いており、かつグローバルに販売網を持つ企業なので、現在の消費が落ち込んでいるアメリカ市場の不振だけを見て買い控えというのは勿体ないのではないかと思います。
また自社工場は持たずEMSなどに生産委託していることと、従業員の半数以上がインドにおり、人件費などでは効率化が図れているため、経営効率においては高いレベルにあるように思います。何か問題が起きて足元掬われる、ということはないかも。
余談ですが、決算発表の音声を聞くとおそらくCEOはインド系なので将来的にインド市場の開拓でも成功する可能性があると感じています。
結論
以上から、もともとの株価が過剰評価であった可能性は捨てきれないにしても、太陽光市場の拡大、Enphaseの商品力や経営体制を踏まえると、Enphaseは長期的に見てまだ成長する企業であることは想像でき、私はもう少し下がるかもしれない3Q決算発表時に株を買うことにしたいと思います。
P.S.
会社の同僚が昨年Enphaseのシステムを家に導入したようですが、話を聞くと私も欲しい!!と思いました。
米政府と州の補助金がダブルで支給されて、10年くらいの間は何か品質異常があれば保証で交換してもらえるそうです。彼曰く6年間で元が取れる見通しで以降は収支がプラスになるそう。アプリでリアルタイムで発電量も見られて、なんだか楽しそうでした。
夏場は書入れ時だそうです。